「茨城」 (同)横田プロジェクト (資本金10万円、つくばみらい市筒戸2109-5、代表社員横田修氏)は、6月4日に水戸地裁龍ケ崎支部より破産手続き開始決定を受けた。
破産管財人には、相澤寛弁護士(守谷中央法律事務所、守谷市中央1-23-1、電話0297-34-0511)が選任されている。債権届け出期間は7月6日までで、財産状況報告集会期日は9月10日午後2時15分。
当社は、2017年(平成29年)6月に設立されたコンビニエンスストアの運営業者。コンビニエンスストア大手のFC店として、守谷市や取手市内で最大5店舗を展開していた。
しかし、年々競争は激化していたほか、新型コロナ感染拡大に伴い来客数が減少。店舗数は2店舗にまで減少を強いられ、2025年5月期の年売上高は約5億1700万円にとどまっていた。加えて、人件費の上昇などを背景に赤字決算が常態化、財務体質は悪化し、資金繰りが限界に達した。
負債は債権者約5名に対し約4000万円。 帝国DBより
コンビニFC運営業者の破産に見る、売上規模と利益のギャップ
― 横田プロジェクトの事例から考える、多店舗展開・人件費上昇・資金繰りの課題 ―
茨城県つくばみらい市の合同会社横田プロジェクトが、水戸地方裁判所龍ケ崎支部から破産手続き開始決定を受けました。
早速、ネットの情報のみですが、分析してみます。同社は2017年6月に設立されたコンビニエンスストア運営業者です。大手コンビニのフランチャイズ店……求人からローソンと思われますが、守谷市や取手市内で最大5店舗を展開していたようです。しかし、コンビニ業界の競争激化に加え、新型コロナ感染拡大による来客数の減少で、店舗数は2店舗まで縮小しました。2025年5月期の年売上高は約5億1700万円でしたが、人件費の上昇などにより赤字決算が常態化し、財務体質が悪化。資金繰りが限界となり、負債は債権者約5名に対し、約4000万円と報じられました。
1. 企業概要
ネットの情報では、横田プロジェクトは、コンビニ大手のFC店として、茨城県守谷市や取手市内で店舗を運営していました。最大5店舗まで展開していたことから、単独店舗ではなく、多店舗運営による売上拡大を目指していた企業と考えられます。
コンビニFCは、知名度のあるブランド、商品供給、店舗運営システムを利用できる一方で、本部への支払い、人件費、廃棄ロス、光熱費などの負担が大きい業態です。
売上高は大きく見えますが、最終的に会社へ残る利益は薄くなりやすい構造があります。
2. 経営悪化の背景
2-1. 競争の激化
コンビニ業界は成熟しており、同業店舗だけでなく、スーパー、ドラッグストア、ディスカウント店、弁当店などとも競合します。
競合が増えると、来客数や客単価が伸びにくくなります。
2-2. コロナ禍による来客数減少
新型コロナ感染拡大により、人の移動や外出機会が減少しました。
コンビニは日々の来客数の積み上げで売上を作る業態です。そのため、通勤・通学・外出の減少は店舗売上に影響したと考えられます。
2-3. 5店舗から2店舗への縮小
同社は最大5店舗を展開していましたが、最終的には2店舗まで減少しました。
不採算店舗を整理すること自体は必要な判断です。
しかし、店舗数が減ると売上規模も縮小します。過去の多店舗展開時代の借入や固定費が残っていれば、2店舗の収益だけで支えることは難しくなります。
2-4. 人件費上昇
コンビニ経営では、人件費が大きな負担です。
人手不足や最低賃金の上昇により、スタッフ確保のための人件費は増加します。一方で、来客数が減れば、その人件費を吸収する粗利益が不足します。
この結果、赤字が常態化したと考えられます。
3. 経営上の問題点
3-1. 売上高だけでは経営実態が見えにくい
2025年5月期の売上高は約5億1700万円でした。
数字だけを見ると一定規模の事業に見えます。
しかし、コンビニFCでは、仕入原価、本部への支払い、人件費、廃棄ロス、光熱費などを差し引いた後の利益が重要です。
売上があっても、手元に現金が残らなければ事業は続きません。
3-2. 多店舗展開の管理負担
店舗数を増やせば売上は増えます。
しかし、店長育成、シフト管理、採用、発注、廃棄ロス管理、店舗別損益管理も難しくなります。
赤字店舗の見極めが遅れると、黒字店舗の利益まで失われます。
3-3. 店舗縮小後の再設計不足
5店舗から2店舗へ縮小した場合、会社全体の固定費や返済計画も見直す必要があります。
店舗を減らすだけでは再建になりません。
残った店舗で黒字を出せる体制に作り直すことが必要でした。
4. 経営視点からの考察
今回の破産は、コンビニFC経営において、売上規模や店舗数だけでは事業の安全性を判断できないことを示しています。
コンビニは売上が大きくなりやすい一方で、利益率は高くありません。
特に近年は、人件費の上昇、来客数の減少、競争激化により、店舗ごとの採算管理が重要になっています。
横田プロジェクトは最大5店舗まで展開していましたが、最終的には2店舗まで縮小しました。
この時点で、残る店舗の収益性、会社全体の固定費、借入返済、人員体制を見直す必要がありました。
多店舗展開では、店舗数を増やす力だけでなく、赤字店舗を早く見極め、必要な場合は撤退する判断力が求められます。
5. こうすれば良かった可能性がある経営施策
5-1. 店舗別損益を早期に確認する
店舗ごとに、売上だけでなく、粗利益、人件費、廃棄ロス、光熱費、本部支払い後の手残りを確認する必要がありました。
赤字店舗については、改善可能か閉店すべきかを早期に判断すべきでした。
5-2. 人件費上昇を前提に運営を見直す
人件費上昇は一時的な問題ではありません。
シフトの最適化、セルフレジ活用、発注業務の効率化、低採算時間帯の見直しなど、人を効率よく配置する仕組みが必要でした。
5-3. 店舗縮小と同時に固定費も減らす
店舗を5店舗から2店舗へ減らすなら、会社全体の固定費や返済条件も2店舗体制に合わせる必要がありました。
店舗を減らしても、過去の借入や管理費が残れば、資金繰りは改善しません。
5-4. 地域需要に合わせた売場作りを強化する
コンビニFCは本部のブランドを利用できますが、店舗ごとの地域対応も重要です。
周辺住民、通勤客、高齢者、学生、工事関係者など、地域の客層に合わせた品揃えや売場作りを行うことで、競争力を高める余地がありました。
6. 同業・中小企業への示唆
コンビニFCは、売上高が大きく見える一方で、利益が残りにくい業態です。
多店舗展開を行う場合は、店舗数ではなく、店舗ごとの利益を重視する必要があります。
また、人件費上昇は今後も続く前提で、業務効率化やシフト管理を行う必要があります。
不採算店舗を閉じることは大切ですが、閉じた後に会社全体を小さく黒字化できる体制へ作り直さなければ、再建にはつながりません。
7. 今回の教訓
売上が大きくても、利益と現金が残らなければ事業は続かない
今回の教訓は、コンビニFC経営では売上規模や店舗数よりも、店舗ごとの利益と資金繰りが重要であるという点です。
横田プロジェクトは、最大5店舗を展開し、2025年5月期には年売上高約5億1700万円を計上していました。
しかし、競争激化やコロナ禍による来客数減少、人件費上昇により、赤字決算が常態化しました。
店舗数を2店舗まで減らしたものの、財務体質は改善せず、資金繰りが限界に達しました。
コンビニFCでは、売上があっても、本部への支払い、人件費、廃棄ロス、光熱費などを差し引いた後に現金が残らなければ、経営は成り立ちません。
多店舗展開では、店舗数を増やすことよりも、赤字店舗を早く見極めることが重要です。
また、店舗を減らした場合は、会社全体の固定費や返済計画も同時に見直す必要があります。
今回の事例は、コンビニFC経営者に対して、売上高に安心せず、1店舗ごとの採算と手元資金を厳しく管理する重要性を示しています。