BPデザイナーズの事例から考える、業務改善コンサル・自社ソフト・事業譲渡後の課題

経営コンサルティング会社の破産に見る、ソフトウェア事業と営業力低下の難しさ

― BPデザイナーズの事例から考える、業務改善コンサル・自社ソフト・事業譲渡後の課題 ―

「東京」 (株)BPデザイナーズ(資本金1000万円、港区西新橋2-9-1、登記面=千葉県市川市八幡3-19-15、代表梁田憲治氏)は、7月3日に千葉地裁より破産手続き開始決定を受けた。

破産管財人には、櫛田東生弁護士(櫛田法律事務所、千葉市中央区中央3-17-2、電話043-306-9127)が選任されている。財産状況報告集会期日は10月5日午後1時20分。

当社は、2002年(平成14年)6月に設立された経営コンサルティング業者。代表が開発したソフトウェア「BPEC(Business Process Engineering Cycle)」を利用し、企業の業務効率化・改善に関するコンサルティングを手がけ、ソフトウェア料とコンサルタント料を得ていた。メーカーやサービス業など幅広い業界に対応し、2018年7月期には年収入高約6500万円を計上していた。

しかし、ソフトウェア事業での固定費負担が重く、2020年7月期以降は赤字決算が続いていた。このため、2023年にはソフトウェア事業を第三者へ譲渡。コンサルティング業務に経営資源を集中することで2023年7月期には黒字転換を果たしたが、営業力が低下したため2024年7月期の年収入高は約2000万円にまで減少していた。近時は公租公課を滞納するなど資金繰りもひっ迫し、事業の継続を断念した。

負債は債権者約10名に対し約3000万円。

帝国DBより

1. 経営悪化の背景

1-1. 自社ソフトを活用した業務改善コンサルティング

同社は、代表が開発したソフトウェア「BPEC(Business Process Engineering Cycle)」を利用し、企業の業務効率化・改善に関するコンサルティングを手がけていたとされています。

経営コンサルティング業では、ノウハウや分析手法をどのように商品化するかが重要になります。

自社ソフトウェアを持つことは、コンサルティングの再現性を高め、他社との差別化につながる可能性があります。

単に人の経験や知識に依存するだけでなく、業務プロセスを可視化し、改善サイクルを回す仕組みを提供できれば、顧客企業にとっても導入メリットが分かりやすくなります。

また、ソフトウェア料とコンサルタント料の両方を得るモデルであれば、単発のコンサルティング報酬だけでなく、継続的な収益を作れる可能性もあります。

2018年7月期には年収入高約6500万円を計上していたとの情報があり、一定の顧客基盤や実績を持っていたと考えられます。

一方で、自社ソフトを維持するには、開発、保守、更新、サポート、営業資料、導入支援などの負担が発生します。

コンサルティング会社がソフトウェア事業も抱える場合、人月型の支援とは違う固定費や運用体制が必要になるのではないでしょうか。

1-2. ソフトウェア事業の固定費負担

同社は、ソフトウェア事業での固定費負担が重く、2020年7月期以降は赤字決算が続いていたとされています。

ソフトウェア事業は、うまく軌道に乗れば高い収益性を期待できます。

しかし、一定のユーザー数や契約数を確保できなければ、開発・保守にかかる費用が重くなります。

特に業務改善系のソフトウェアは、単に製品を販売すれば終わりではありません。

導入時の説明、業務フローの整理、設定、顧客ごとの運用支援、改善提案、問い合わせ対応などが必要になります。

コンサルティングと一体で提供する場合、ソフトウェアそのものの保守に加え、人的支援も求められます。

売上が伸びている時期には、ソフトウェアが強みになります。

しかし、契約数が伸び悩んだり、開発・保守コストを回収できなかったりすると、固定費が経営を圧迫する要因にもなります。

1-3. ソフトウェア事業の譲渡

同社は、2023年にソフトウェア事業を第三者へ譲渡したとされています。

これは、固定費負担を軽くし、コンサルティング業務に経営資源を集中するための判断だったと考えられます。

実際、2023年7月期には黒字転換を果たしたとの情報があります。

この点を見ると、ソフトウェア事業の譲渡は、短期的には収益改善に一定の効果があった可能性があります。

一方で、自社ソフトウェアは同社の差別化要素でもあったと考えられます。

ソフトウェア事業を譲渡したことで、固定費は減ったものの、顧客に提案できる独自商品や継続収益の柱も弱まった可能性があります。

コンサルティング業務に集中する場合、改めて「何を強みに営業するのか」を再設計する必要があったのではないでしょうか。

1-4. 営業力低下による売上減少

同社は、営業力が低下したため、2024年7月期の年収入高が約2000万円にまで減少したとされています。

2018年7月期の年収入高約6500万円から比較すると、大きな減少です。

経営コンサルティング業は、案件獲得の継続性が非常に重要です。

顧客との関係が深まれば継続支援につながる一方で、新規案件を取り続けなければ売上は減少します。

特に中小規模のコンサルティング会社では、代表者や特定のコンサルタントの営業力、人脈、紹介、セミナー、既存顧客からのリピートに依存しやすい面があります。

営業力が低下すると、案件数が減り、固定費や過去の負債を支えることが難しくなります。

ソフトウェア事業を譲渡した後、コンサルティング業務に集中したものの、十分な案件獲得につなげられなかった可能性があります。

1-5. 公租公課の滞納と資金繰りひっ迫

同社は、近時、公租公課を滞納するなど資金繰りがひっ迫していたとされています。

公租公課の滞納は、資金繰りがかなり厳しい局面に入っていたことを示すサインと考えられます。

税金や社会保険料などは、事業継続において優先度の高い支払いです。

それでも支払いが滞るということは、通常の運転資金や外部支払いに加えて、手元資金が不足していた可能性があります。

負債は債権者約10名に対し約3000万円とされています。

2024年7月期の年収入高約2000万円に対して負債約3000万円という規模は、コンサルティング業者としては重い負担だったと考えられます。

売上が減少し、公租公課の滞納も生じるなかで、事業継続の見通しを立てることは難しくなっていたのではないでしょうか。

2. 経営上の問題点

2-1. ソフトウェアとコンサルティングの両立の難しさ

同社は、自社ソフトウェアを利用した業務改善コンサルティングを行っていたとされています。

このモデルは、コンサルティングの型を作れる点では強みになります。

しかし、ソフトウェア事業とコンサルティング事業は、収益構造が異なります。

ソフトウェアは、開発・保守・サポートなどの固定費が先行します。

一方、コンサルティングは、案件ごとの人的稼働に収益が依存します。

両方を組み合わせるには、製品開発力、営業力、導入支援力、継続課金の仕組みが必要です。

顧客数が十分に増えなければ、ソフトウェア事業の固定費だけが重くなってしまう可能性があります。

2-2. 独自ソフト譲渡後の差別化低下

2023年にソフトウェア事業を第三者へ譲渡したとされています。

固定費を削減するうえでは有効な判断だった可能性があります。

一方で、自社ソフトは同社の独自性でもあったと考えられます。

譲渡後にコンサルティング業務へ集中した場合、今度は他の経営コンサルティング会社との差別化が課題になります。

業務改善コンサルティングは、多くの競合が存在する分野です。

大手コンサルティング会社、士業、ITベンダー、業務改善専門会社、DX支援会社、フリーランスコンサルタントなど、幅広い競合がいます。

自社ソフトという明確な入口を失った後、どの顧客に、どの改善テーマで、どのような成果を約束するのかを再設計する必要があったと思われます。

2-3. 営業導線の弱体化

営業力が低下したとされる点は、コンサルティング会社にとって大きな問題です。

コンサルティング業は、在庫を持たない分、売上は案件獲得力に大きく依存します。

既存顧客からの継続案件、紹介、セミナー、Web問い合わせ、パートナー経由の案件など、複数の営業導線が必要です。

営業導線が弱くなると、売上は急速に減少します。

特に、ソフトウェア事業を譲渡した後は、ソフトウェア販売をきっかけとした案件獲得が減った可能性もあります。

その状態でコンサルティング単体の営業体制を作り直せなければ、売上を維持することは難しくなります。

2-4. 継続収益モデルの不足

コンサルティング業は、単発案件に依存すると売上が不安定になります。

業務改善支援は、診断、改善提案、実行支援、定着支援、定期レビューまで継続的に提供できる可能性があります。

しかし、継続契約や月額顧問型のサービスが十分でなければ、案件終了ごとに売上が途切れます。

ソフトウェア料が継続収益として機能していた場合、それを譲渡した後は、コンサルティング側で新たな継続収益を作る必要があったと考えます。

この転換が十分に進まなかったことで、収入の安定性が低下した可能性があります。

2-5. 公租公課滞納に至るまでの資金管理

公租公課の滞納が生じていたとされています。

これは、売上減少に対して資金繰り改善策が追いつかなかった可能性を示しています。

税金や社会保険料は、後回しにすると負担が膨らみやすく、再建を難しくします。

売上が減少した段階で、固定費削減、返済条件の見直し、顧問契約の確保、未収金回収、役員報酬や外注費の調整などを早期に進める必要があったと思われます。

公租公課の滞納が始まる前に、事業継続の可否を見極める判断も重要だったのではないでしょうか。

3. 経営視点からの考察

今回の事例は、経営コンサルティング会社であっても、自社の事業構造や収益モデルの転換がうまくいかなければ、資金繰りが悪化する可能性を示していると考えます。

BPデザイナーズは、代表が開発したソフトウェア「BPEC」を活用し、企業の業務効率化・改善に関するコンサルティングを行っていたとされています。

ソフトウェアを活用したコンサルティングは、独自性を出しやすく、業務改善の型を提供できる点で強みがあったと考えられます。

しかし、ソフトウェア事業は固定費負担が重く、2020年7月期以降は赤字決算が続いていたとの情報があります。

その後、2023年にはソフトウェア事業を第三者へ譲渡し、コンサルティング業務に経営資源を集中することで黒字転換を果たしたとされています。

この判断は、短期的には合理的だった可能性があります。

ただし、ソフトウェアを譲渡した後は、同社の差別化要素や継続収益の柱が弱まった可能性もあります。

コンサルティング単体で生き残るには、営業力、専門領域、顧問契約、紹介ネットワーク、実行支援力などが重要になります。

2024年7月期の年収入高が約2000万円まで減少したとされる点を見ると、ソフトウェア事業の固定費削減には成功したものの、その後の案件獲得が十分に戻らなかった可能性があります。

経営コンサルティング業者であっても、自社の営業力が低下すれば収入は減少します。

また、顧客企業に業務改善を提案する立場であっても、自社の収益構造、固定費、営業導線、キャッシュフローを継続的に見直さなければ、経営は不安定になります。

今回の事例は、コンサルティング会社にとっても、事業モデルの変更後に営業基盤を再構築することの難しさを示しているのではないでしょうか。

4. こうすれば良かった可能性がある経営施策

4-1. ソフトウェア事業の採算を早期に切り分ける

ソフトウェア事業の固定費負担が重かったとされるため、早い段階でソフトウェア単体の採算を明確にする必要があったと考えます。

  • 開発・保守にかかる年間固定費
  • 契約社数ごとの損益分岐点
  • 導入支援に必要な人的工数
  • サポート対応コスト
  • 解約率
  • ソフトウェア経由で獲得できるコンサル案件数

これらを切り分けたうえで、ソフトウェアを伸ばすのか、縮小するのか、外部提携に切り替えるのかを判断する必要があったと思われます。

4-2. ソフトウェア譲渡後の営業戦略を再設計する

2023年にソフトウェア事業を譲渡した後、コンサルティング業務に集中したとされています。

この転換時には、営業戦略を大きく作り直す必要があったと考えます。

  • 自社ソフトなしで何を売るのか
  • どの業界に強いのか
  • 業務改善のどの領域を支援するのか
  • 成果物は何か
  • 料金体系をどうするのか
  • 継続契約へどうつなげるのか

ソフトウェア譲渡は固定費削減にはつながりますが、その後の営業商品が曖昧になると、売上減少につながる可能性があります。

事業譲渡と同時に、新しい営業メニューや顧問契約型サービスを整える必要があったのではないでしょうか。

4-3. 業務改善コンサルを小さな定額サービスにする

中小企業向けの業務改善コンサルティングでは、いきなり高額案件を受注することは難しい場合があります。

そのため、入口となる小さなサービスを用意する方法が考えられます。

  • 業務フロー診断
  • ムダ取り診断
  • 月1回の業務改善顧問
  • 現場ヒアリングレポート
  • Excel・クラウドツール導入支援
  • 会議体改善支援
  • 業務マニュアル作成支援

こうした定額サービスを用意できれば、新規顧客が相談しやすくなります。

大規模な業務改革だけでなく、小さな改善を継続的に支援する形へ転換する余地があったと思われます。

4-4. 既存顧客への継続支援を強化する

メーカーやサービス業など幅広い業界に対応していたとされています。

過去の顧客基盤があったのであれば、既存顧客への継続支援を強化することが重要だったと考えます。

  • 改善後の定着支援
  • 半年ごとの業務診断
  • 新規部署への横展開
  • 業務マニュアル更新
  • 生産性指標の定期レビュー
  • DXツール導入支援
  • 管理職向け改善研修

新規営業が弱くなった場合でも、既存顧客からの継続受注や紹介を増やせれば、売上の落ち込みを抑えられた可能性があります。

4-5. 代表者の知見をコンテンツ化する

代表がソフトウェアを開発していたことから、業務改善に関する独自の知見やノウハウがあった可能性があります。

その知見を営業資産として発信することも重要だったと思われます。

  • 業務改善コラム
  • 改善事例集
  • 無料診断シート
  • ウェビナー
  • セミナー資料
  • 業界別チェックリスト
  • ホワイトペーパー

コンサルティング業では、顧客が相談する前に「この会社は何に強いのか」を理解してもらう必要があります。

代表者の知見を見える化することで、新規案件の獲得につながる可能性があったのではないでしょうか。

4-6. 公租公課滞納前に事業縮小と資金繰り改善を進める

公租公課を滞納する状況になっていたとされています。

この段階では、資金繰りがかなり厳しくなっていた可能性があります。

売上が減少した時点で、固定費の削減、外注費の見直し、役員報酬の調整、返済条件の見直し、未収金回収、事業規模縮小を早期に進める必要があったと考えます。

コンサルティング業は、在庫を持たない分、固定費を抑えて小さく続ける選択肢もあります。

会社としての維持が難しい場合でも、個人コンサルや業務改善顧問として小規模に継続する道もあったかもしれません。

5. 同業・中小企業への示唆

経営コンサルティング業は、専門知識や経験があれば始められる一方で、継続的に案件を獲得し続けることが難しい業種です。

自社ソフトウェアを持つことは差別化につながりますが、開発・保守・サポートにかかる固定費を回収できなければ、経営を圧迫する要因にもなります。

また、ソフトウェア事業を譲渡して固定費を削減したとしても、その後の営業商品や継続収益モデルが整っていなければ、売上は維持しにくくなります。

同業の中小コンサルティング会社にとっては、何を提供するのか、誰に売るのか、どのように継続収益化するのかを常に見直す必要があると思われます。

特に、代表者の知見や独自手法に依存する会社では、そのノウハウをサービスメニュー、資料、研修、診断ツール、コンテンツとして見える化することが重要になるのではないでしょうか。

6. 今回の教訓

自社ソフトもコンサルも、営業導線が弱まれば収益を支えにくい

今回の教訓は、独自ソフトウェアや専門的なコンサルティングノウハウがあっても、それを継続的な案件獲得につなげる営業導線がなければ、経営を支えることは難しいという点にあります。

BPデザイナーズは、代表が開発した「BPEC」を利用し、企業の業務効率化・改善に関するコンサルティングを手がけていたとされています。

ソフトウェア料とコンサルタント料を得るモデルは、独自性と継続性を両立できる可能性があったと思われます。

しかし、ソフトウェア事業での固定費負担が重く、2020年7月期以降は赤字決算が続いていたとの情報があります。

その後、2023年にソフトウェア事業を第三者へ譲渡し、コンサルティング業務に集中することで黒字転換したとされています。

ただし、2024年7月期には営業力の低下により、年収入高は約2000万円まで減少していたとの情報があります。

この流れを見ると、固定費の削減には一定の効果があったものの、売上を生み出す営業基盤の再構築が十分ではなかった可能性があります。

経営コンサルティング業は、顧客に改善を提案する仕事です。

しかし、自社もまた、事業モデル、営業導線、固定費、継続収益、資金繰りを改善し続けなければなりません。

ソフトウェアを持つことは強みになりますが、利用企業を増やせなければ固定費が重くなります。

ソフトウェアを譲渡しても、その後にコンサルティング案件を継続的に獲得できなければ、収益基盤は弱くなります。

一言でまとめるなら、独自のノウハウやソフトウェアは大きな武器になりますが、それを継続的な営業導線と収益モデルに変えられなければ、経営を支える力にはなりにくいのではないでしょうか。

投稿者 kato

これはテスト画像ですよ。テストです。

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